あかとんぼと窓の風景

あかとんぼが腰窓から見えて

色をわすれるほど美しく発色していた

赤じゃない緋色っぽい

そう、まだあの向こうに咲いている彼岸花よりかは

赤じゃなくて・・・太陽にも照らされて

ますます色はわからなかった

翅もきらりと光っていた。でも、

ぜんぶ一瞬のことだからね

視界の隅に入って出るまでに何も残らないんだ 

 

また少し寒くなって、パジャマも一枚多めに着て寝るようになった

まいにち色々決めないと

変化は決めないと起きないからね

静かに風が吹いている

里芋の傘や大豆の葉が揺れている

刈られた雑草もピンクの小さな朝顔のような花をさかせ

細かくほのかに頷いている

 

力なく強く横に伸びる長細い雲が

まるで何かを示しているかのよう

 

日差しが直接真下に当たるような、遠くの道路の上は

めらめらと空気が揺れている

陽炎と言うんだね

畑も屋根も細かいめらめら

 

白や黄色のちょうちょも

あいさつでいそがしい

 

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 あっちにふらふら、こっちにふらふら

ゆれるゆれる大いにゆれる

なにがなんだかわからずに

大きそうなものやすばらしそうなものに引力のように

引っ張られるようにみえてじつは自ら追っかけていたよ

それはあらがえないことだと思い込んでいたよ

あまりにその状態だらけでじぶんでもそれがじぶんの

アイデンティティーみたいに思えてくるまでに

不自由さに慣れていたよ

だけどね。

それでもわたしが欠けることなんてコンマたりともないの

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